熊野の秋刀魚丸干し(さんままるぼし)について
三重県熊野市は温暖で山・海といった大自然の町です。
「豊かな山は豊かな海を育てる」魚作商店創業者の竹内作太郎が言っていました。
熊野灘で水揚げされる秋刀魚は、脂が抜け、丸干し加工に最適な素材です。
サンマ以外に、アジ、イワシ、カマス、といった小魚も脂が少なく、また水揚げ量も多いため、この熊野地域の干物加工業者間で、丸干し作りが盛んとなりました。
- 丸干しの素材である魚種の水揚げ量も多く、漁師さん達の収入源となっていた
- 素材の鮮度や品質を、漁師さん達が競い合って水揚げする為、品質の良い魚が確保できる
- 丸干しは手間が掛からず、量をこなせるため、加工業者が競い合って仕入れていた
- 秋から春先、特に冬場は大自然が天然乾燥機となる気候、風土が丸干し作りに適している
- しっかり干しを入れることで保存食にもなっていた
- 作業工程が簡単なので一般家庭でも作られていた
魚を取ってくる漁師の気質、魚を仕入れる加工業者達、一般家庭でも作られるほどの需要があったといった背景が、熊野の丸干し作りを盛んにさせ、洗練された丸干しが作られる様になった。
丸干しは、脂が少なければ少ないほど、よく乾燥が入り、身が締まります。
水分が少ないため、保存性は上がりますが、最近は冷凍冷蔵設備の進歩により、保存性より「丸干しの味わい」を求める傾向となっています。
ソフトな仕上がりの丸干しニーズもあり、脂がある素材の丸干し作りが研究され、柔らかい丸干しの人気が出てきました。
丸干し作りは、作業工程がシンプルな分、味付けが非常に難しく、同じように作っても同じ味に仕上がりません。
素材本来の味、塩加減、乾燥環境、保管状態など、シンプルな中に奥深さがある作業だと捉えています。
サンマ丸干し 通販
毎日放送「ちちんぷいぷい」で「サンマ丸干し」が紹介!
毎日放送「ちちんぷいぷい」(2014年1月27日放送)で、魚作商店の「寒さんま丸干し」が紹介されました。メディアにも取り上げられ、大変ご好評頂いている本場の「サンマ丸干し」です。是非、ご賞味下さい。
初さんま丸干し 通販
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11月から12月に地元で水揚げされる「さんま」を丸干しに加工します。初さんま丸干しは、サイズが大きめで、多少の脂を持っているため、やわらかい仕上がりとなります。 |
寒さんま丸干し 通販
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1月の寒の入りから2月寒明けまでに地元で水揚げされる「さんま」を丸干しに加工します。寒さんま丸干しは、サイズが小ぶりになり、その分、脂が少ないため、身が締まった仕上がりとなります。 |
春さんま丸干し 通販
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2月寒明けから4月末までに地元で水揚げされる「さんま」を丸干しに加工します。春さんま丸干しは、小ぶりで脂が抜け落ち、上干し仕上げに適した丸干しとなります。 |
サンマ丸干しの美味しい食べ方
干物の焼き方
究極のおいしい干物の焼き方
究極は、「その日に仕上がった干物を、その日に炭火で焼いて食べる」
そういう状況に近い条件を整えてサンマを焼きます。
初さんま丸干し、寒さんま丸干し、春さんま丸干し、の美味しい食べ方
まずは頭を取り、さんまのエラ下から内臓につながる部分にひかかっている鱗を探してください。
鱗は透明で、内臓の色に染まっていて確認しずらいですが、食べてしまうと、なかなか噛み切れないので、入っていれば取り除きます。
初さんま丸干しは、サイズによりますが大きい物であれば大骨は残しながらも、内臓と身を一緒に食べることでコクや脂感を味わえます。
その後、身だけを食べたり、自分のお好みでお召し上がりください。
どうしても、尾に近い部分は塩が効いています。
肉厚の部分と尾に近い部分を一緒に食べると良い場合もあります。
寒さんま丸干しは、頭を取り、鱗を除去した後、そのままガブッといってください。
大骨が気になる様であれば取り除いてください。
寒さんまは内臓のコクが最高です。
これが丸干しという味わいを楽しめると思います。
春さんま丸干しは、結構身が締まった物となるので、寒さんま同様に食べてください。
身をほぐして、さんま茶漬けもいいですよ。
さんま茶漬けは塩が効いている丸干しをおすすめします。
サンマ丸干しの作り方
素材選び 市場で仕入れる際に、質の良いサンマを仕入れることが美味しくて、きれいな丸干しに必要な要素です。
- 鮮度
- 胃の中の状態を確認
- 塩漬け作業(揉み塩製法)
- 干し作業
さんまの色艶が藍色の濃い背中と銀色に輝く腹の色
さんまの触感は触った感じ、ピンとした張りぐわい、さんまを手ですくい上げる時のパラパラッとした感触
これが綺麗に美味しく仕上がるために重要なポイントです。
サンマは夜中にエサを食べます。
そのエサが胃の中で消化される頃、つまり朝方4時ぐらいにサンマを取ることで、胃の中が空になり、丸干しに適した素材となります。
胃の中にエサが残っていると、丸干しに加工した際、腹に赤い色がついたり、エサが乾燥しないため、腹が締まらず、焼いた際に腹が落ちてしまいます。
こうなると、せっかくの丸干しで仕上げた内臓のコクが味わえないため、仕入れる際は、サンマの腹を尾の方にしぼる(押し上げる)とエサが入っていれば肛門から出てきます。
その出てきたエサの色や量で、胃の中の状態を把握し、丸干しに仕上げた時のイメージを想像して仕入れます。
サンマを塩で揉んで大きなタンクに入れていきます。
塩でサンマを揉むことでサンマの鱗が取れます。
決められたサンマの量に対して、決めた塩の量で揉んでいきます。
一夜寝かして置くと、サンマ自体が持っている水分が塩を溶かし、余分な物を加えていない塩汁が丸干しの塩味となります。
塩漬けしたサンマをよく水洗いし、尾ビレ下の部分に串を刺していきます。
1本の串に9本から12本程度(魚の大きさで刺す本数を決めます)
串に刺したサンマを更に水洗いし、専用の枠に串を並べ、サンマ同士がくっつかないよう手入れします。
手入れされたサンマを専用の台車に差し乾燥機に入れます。
乾燥機で表面を乾かし、その後、天日干しで仕上げます。
冷凍サンマ丸干しの焼き方
初さんま丸干しの様に、大き目の物は焼く前に冷蔵庫で解凍、もしくは常温で自然解凍後、焼いていただくとムラなく焼き上げることができます。
半解凍でも、最初は弱火で溶かす感じで均等に火を入れ、溶けてきたら中火で焼き上げてください。
寒さんま丸干しと春さんま丸干しについては、冷凍のままでも大丈夫です。
解凍を兼ね、弱火で火を入れ、溶けかけたら中火で焼き上げてください。
保存方法
干物は保存性を高めた食べ物ですが、冷蔵庫に置いておくと、乾燥や酸化がどんどん進みます。
その結果、焼いた時の風味が落ち、新鮮味が無くなり、身の味も劣化します。
なので、保存は冷凍保存となります。
家庭用の冷凍庫はマイナス10℃ぐらい。
それに開閉回数が多いと庫内の温度変化が品質を落とします。
冷凍された干物を冷凍庫に入れる際は、サランラップやポリ袋、ジップロックのフリーザバックなどに入れて保管ください。
また、冷凍でない物を冷凍する際は、小分けし、アルミトレーに並べて冷凍します。
凍った干物は先ほど説明したように、干物が直接空気にふれない様に、理想は真空パックの保管をお勧めいたします。
保管するための条件として「低温管理の定温管理」
マイナス10℃より、マイナス20℃の低温状態。
0℃になったり、マイナス10℃になったりと温度が定まらない状態は品質を落とします。
保管する期間にもよりますが、1週間程度なら大きな品質劣化は無いのですが、長期保管といった3ヶ月、5か月となると専用の冷凍保管庫をお勧めいたします。
賞味期限
賞味期限とは「美味しく食べられる期限」です。
開封していない状態で、表示されている保存方法に従って保存したときに、美味しく食べられる期限を示しています。
美味しく食べられる目安の根拠として下記があります。
- 菌の繁殖などを調べる微生物検査。
- 濁りや粘り、色や酸化などを調べる理化学検査。
- 実際に食べてみた食感や味、臭いなどを評価する。
当社が販売先に卸す際の賞味期限は、全て納品日から30日で印字しております。
期限が過ぎても食べることは可能ですが風味がひとつの基準となり、私個人のお勧めする賞味期限は、冷蔵の場合、24時間以内でお召し上がりください。
保存状態にもよりますが、その日出来た干物を冷蔵庫で食べずに3日後に食べるのであれば、きちんと冷凍管理された干物を焼いて食べた方が美味しいと思います。
それでは、冷凍保管された干物を買い、家庭の冷凍庫でどれくらい持つのか?
塩の開いた干物は、身の部分が温度変化に弱く、冷凍庫内の定温管理(定まった温度で維持できているか)が難しい家庭の冷凍庫では10日以内。
丸干しの場合は魚の皮で、身の冷凍焼けをガードできるため20日以内。
味醂干しは、開きと同様の形態ですが、味醂ダレに含まれる砂糖、醤油、味醂といった添加物が干物に被膜を形成し、身に浸み込むため30日以内。
やはり、干物は保存が効くという認識を改めていただき、出来る限り、早くお召し上がっていただく事をお勧めいたします。
秋刀魚丸干しアレンジレシピ
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さんま丸干しフォンデュ 料理レシピ
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さんま丸干しサラダ 料理レシピ
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さんま丸干しご飯 料理レシピ
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さんま丸干し南蛮漬け 料理レシピ
材料 初さんま丸干し(もしくは宮城県さんま丸干し)、トマト、オイル、にんにく、バジル
さんま丸干しを焼く→大骨と目立つ小骨を取り除き、すり身にする
→すり身にしたサンマにオイル、ニンニク、バジルを混ぜ合わせる。
パン、ゆで野菜、ソーセージ、お好みの具材ににつけて食べる。
材料 初さんま丸干し(もしくは宮城県さんま丸干し)、グリーン野菜、つぶマスタード、バター、バルサミコ酢
さんま丸干しをバターで炒める→身をほぐして大骨、目立つ小骨を取り除く
→ほぐしたサンマの身にグリーン野菜、つぶマスタードを混ぜ合わせる。
お好みでバルサミコ酢を加える。
材料 初さんま丸干し(もしくは宮城県さんま丸干し)、米
お米を炊く中に、ブツ切りしたサンマ丸干しを入れるて、炊きあげる。
混ぜ合わせて、お好みで醤油を入れる。
材料 寒さんま丸干し、玉ねぎ、ピーマン、ニンジン、赤唐辛子、小麦粉、酢、砂糖、醤油、塩
さんま丸干しをキッチンバサミで食べやすい大きさに切る→玉ねぎは薄切り、ピーマン、ニンジンは細切り
→付け汁を作る(酢 1/2カップ、砂糖 大さじ2、醤油 大さじ1、塩 小さじ2/3、水 1/4カップ、赤唐辛子 1本)
→サンマの身に小麦粉を薄くまぶし、170℃の揚げ油で5分揚げ、油をきる
→付け汁にサンマ、野菜を漬けて、味をなじませる。
安全で美味しい干物(ひもの)のご購入はこちら!
魚作商店の干物は、甘辛い秘伝の味醂ダレが素材の旨みを引きたて、お口いっぱいに干物の旨みが広がります。
是非、食べ比べしてみて下さい。
魚作商店の干物は複数のメディアでも取り上げられており、多くのファンが全国におります。是非ご賞味下さい。